柿という言葉が初めて日本の文献に登場するのは、平安時代初期(815年)、嵯峨天皇の名により編纂された「新撰姓氏録」です。その中に、敏達天皇の代、家門に柿の木があったことから「柿本」の姓が起こったことが記されており、平安時代には食用に数多くの柿が栽培されていたようです。
また、江戸時代(1775年)に来日したスウェーデン人植物学者ツンベルクは、初めて見た柿に感動し「Diospyros Kaki(ディオスピーロス・カキ)」という学名を付けました。「Diospyros」とは「神の賜物」という意味であり、美味しさと栄養を兼ね備えた食べ物と讃えられたのです。
弊社のブランド名は、この神の賜物「柿」を象徴として、千古不易の繁栄を願って「千」の字を加え、「柿千」と名づけられました。
幻の最高級柿「御所柿」。その丸みを帯びた福々しい輪郭線の中に、天川郷銘産である「矢箆竹(ヤノウチク)」で作った矢をかたどった「千」の字を配しました。
御所柿は、室町時代後期の奈良に生まれ、豊かな甘味が珍重されてきました。幻の柿と呼ばれるほど生産量が少なく、希少価値があり、宮中へも献上されてきた高級柿と言われています。
また、柿千の発祥の地である天川郷に、財政的潤いをもたらしたのが矢箆竹でした。
天川の良質な竹で作られた矢は、敵陣に当たると折れるため、敵が再び使用することができません。敵を倒しても味方を傷つけることはけっしてないことから、豊臣時代には「無双の矢」と賞揚され、徳川時代には年貢の代わりに幕府へ納められていました。
このように、このマークには、柿千が時代を超えて継承すべき大切な価値観と伝統が確かに刻み込まれています。