平成19(2007)年、雇用対策法の改正により、社員の募集及び採用において年齢制限を行うことが禁止されました。弊社では、この法改正の以前の創業時から、ノーマライゼーションの考え方のもと、年齢不問の採用を行っています。会社は「社会の縮図」であり、老若男女、障がいの有無を問わず、それぞれが持てる能力を発揮して共に働くことが自然な形であると言えるでしょう。
高齢者には豊富な人生経験があり、一般社員と同様に仕事に携わることで優れた能力を発揮し、互いの足りない部分を補い合うことによって、どのような状況にも対処できる強い組織を作ることができます。
弊社では、年齢・性別にとらわれず、お互いを尊重しあい支えあう会社の実現へ向けて、高齢者の方へさまざまな雇用支援を行っています。
日本においては定年制を敷いている会社が大多数を占めますが、すべての人が、例えば65歳になったその日から全く働けない状態になるわけではありません。退職時期を年齢によって一律に定めるのは、大きな社会的損失ともいえるのではないでしょうか。
弊社では、創業以来、自身から退職を申し出ない限り、会社からの年齢理由による退職勧奨は行わず、現在も31名もの70歳以上社員が活き活きと仕事に携わっています(2015年10月末現在)。皆、それぞれの業務における長年の実務経験を活かし、各分野に精通したプロフェッショナルとして、また職場のリーダーとして、現場第一線で活躍しています。
このように、弊社では年齢を問わず、それぞれの志向・適性にあった能力を発揮できる場を提供し、生涯現役で働きたいという高齢者の意欲をサポートしています。
当社の高齢者受け入れは、創業当時、地域の主婦の方2、3名を、パート社員として採用したのがきっかけです。会社の成長とともに、パート社員も増えましたが(2015年10月末現在130名)、常に地域の方々を雇用してきました。その際、年齢を理由に不採用としたケースはありません。
例えば、ある幹部社員は、55歳で民間企業を退職後、弊社の「年齢不問」の求人募集に応募し、採用されました。その後、会社の成長とともに、経営に深く参画し、製造部、総務部、営業部、伊賀ドライブイン事業部などの組織づくりに尽力してきました。70代の現在も、週2日の勤務で引き続き活躍しています。
現在も、パート社員を中心に、多数の高齢者が仕事に携わっています。全社員のうち70歳以上が35人と、約10%に達します(2015年10月末現在)。一般的な企業ではリタイアしている年齢ですが、当社では健康で働けるうちは自分の仕事を続けたいと考えている社員が多く活躍しています。
これを可能にしているのが、各自の体力・能力に合わせた柔軟な勤務体制です。1日の勤務時間は本人の希望を優先させており、週4~5日出勤の人が多い中で、高齢者は週3日に設定するなどの配慮を行っています。
また、製造現場においては、1つの仕事に長時間集中することは難しくなるため、1日4時間勤務でシフトを組み、高齢者の負担を軽減しています。こうした対応により、最高齢81歳の女性も、第一線で元気に働くことが可能となりました。伊賀ドライブインに勤務していた方ですが、勤務評価も高く、退職時まで現場の重要な戦力として貢献。ほかにも、さまざまな職場で着実な成果を上げています。